経営相談を受けていると「売上」に関するものが多いけれど、「資金繰り」に関することも多い。この資金繰り、お金の流れを掴むことで、意外と簡単に対策できることもある。一番問題なのが、「現金」だけを追っている社長様。例えば、商売には、「掛」というものがある。買掛金の支払、売掛金の売上は、現金として流れるのが少し遅れる。この遅れを考慮していないと、お金が手元から無くなってしまい、なにもできなくなってしまうことも・・・。
さて、このお金の流れ、事業のタイプから次の2パターンで考えてみる。
■パターン1:現状維持タイプ
今の商売が順調でも不調でも、世の中は、「少子高齢化」「人口減少」だから、市場は縮小傾向なので、売上は将来的に下落する可能性がある。しかも、「円安」「労働人口の減少」「税制改正」「顧客ニーズの多様化」などの要因によって、費用の増加の可能性も高い。
だから、将来的にどんなに頑張っても、いずれは、赤字になる(お金が減っていく)という構造が見えてしまう。このタイプでは、資金の減少は、ライバル業者が激減するまで続くので、いかに資金をためて、オンリーワンになるまで、生き残るのかが大切となる。
■パターン2:進化型タイプ(環境変化に対応して、新しい商売を始めるタイプ)
ダーウィン名言「唯一生き残るのは、変化できるものである」にある通り、商売の変革を求めて、新規事業を行う会社も多い。でも、新しい商売は、投資費用が必要になる。すぐに、新しい商売が軌道に乗れば良いけれども、そんなに簡単に売り上げが上がるものではない。また、十分なスタッフがいるわけではないので、兼任というケースも多い。そうなると、今、順調な商品の品質の低下などによって、悪い影響があるかもしれない。
このときに、押さえるポイントは、次の2つ。
①の斜線の部分。通常緩やかに費用が増大していくのに、急に大きくなるから、手元のお金が無くなる可能性がある。
②の全体的に赤字の時期。
苦しくて、撤退を考えることもあるだろう。他の事業を始めたくなるかもしれない。しかし、売上が伸びるのは、耐えて耐えて耐え抜いた後に急に伸びることが多い。商売の売れない原因を探り、解決しながら、地道に前に進むしかない。
この①と②の時期に、必要なのが、借入金、または補助金。しかも、将来の絵をかいておかないと、手元の現金だけを見ていたら、ついつい使ってしまう。ココでこそ、資金繰表などの計画が必要になる。計画的な利用が重要ってことだね。 最後に、ちょっとした豆知識。借入金の返済額は、基本的には決算書には現れない。利益から、税金を差し引いた残りで、返済をすることになる。だから、利益は出ていても、手元にお金が残らないことなんて多々ある。だから、お金の流れを理解することは、とっても重要なんだ。
かしはら商工ニュース 2017年1月号に掲載していただいたものを転載いたしました。
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