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「安売り」は破滅を招く疫病神?

 売上が低迷したとき、「売れないよりは売れた方が良い」という考えに到達して、安売りを始めていませんか?

■安売りの特性

 安売りは表面上の潤いを満たすもので、本質は「麻薬と同等のもの」とも例えられます。なぜなら、一旦、安売りを始めてしまえば、①麻薬的に何度も実施する②やればやるほど、引き返せなくなるからです。  洋菓子店の例をもとに考えてみましょう。不景気の影響で、売上が低迷した為、需要を喚起するための販促キャンペーン(割引セール)を行いました。当然、期間中は顧客も増え、売上も上がり、表面上はうまくいったように感じます。しかし、キャンペーンが終了すると、売上が急激に落ちます。経営者は不安に陥り、再度キャンペーンを行います。これを繰り返すことで、顧客側の心理は「何度でも割引セールを行うのだから、安いときに買おう」となってしまいますので、安売りをやめることができなくなります。そして、利益が圧迫されていき、「安売りの負のスパイラル」から抜け出せなくなります。そうなると、次は品質を落として利益の向上を図ります。しかし、品質の低下は、顧客の支持と信頼を失います。そして顧客は減り、店は破滅へと追い込まれていきます。

■安売りの打開策

安売りをせずに、売上を伸ばす主な方法は、次の2つがあります。 ①「自社の自慢」や「自社でしか提供できないもの」である強みを強化する。 ②他社と比較して、優位になる差異化を行う。 しかし、これらの答えを出すことが困難な場合が多いでしょう。そこで考えてみてください。自社の商品を買うのは顧客です。選ぶ理由も比較の基準もすべて、顧客が持っています。つまり、顧客に直接聞くことが一番の近道であり、また「答え」なのです。

■質問のポイント

 顧客に聞くときは、次の2つに気をつけてください。 ①他店ではなく、当店を選んだ理由を聞く(比較ができる会社・店舗を言うと具体性が増します) ②顧客にとっての基準を聞く。個人的な理由で良いことを強調すること。 また、顧客の口から出てきた言葉は、顧客が理解し易いキーワードですので、キャッチフレーズ等に用いることで、自社の強みや差別性が顧客に伝わり易くなり、多くの顧客を引き寄せることを可能にします。

■安売りの使い方

 「安売り」が必ずしも「破滅」をもたらす疫病神なのではありません。次の2つの目的においては、需要喚起の手助けともなります。 ①在庫整理の為の安売り。時期を逃すと売れ残るもの、早急に完売の必要があるもの。 ②新商品導入の安売り。品質・機能等を理解していないので、一度購入してもらい、良さを実感させるために実施するもの。 使い方を誤らず、目的(何のための安売りか)を持って行うことが重要だといえるでしょう。


ちゅうきれん新聞「ハロー」 2010年4月号に掲載させていただいたものを転載しています。
掲載時の記事は、こちらをご覧ください。

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